トレーニング方法

筋トレの目標設定で男性が押さえるべきポイント

ジム内観

筋トレを始める男性にとって、適切な目標設定は継続的なトレーニングの基盤となります。漠然と「筋肉をつけたい」「体を変えたい」という思いだけでは、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。

特に30~40代男性は、仕事のストレスや責任の増加と共に、自分の体づくりを後回しにしがちです。男性特有の体組成や筋肉のつきやすさを理解した上で、現実的で達成可能な目標を段階的に設定することで、モチベーションを維持しながら着実に体づくりを進めることにつながります。

自分のペースで無理なく続けられる目標設定の方法を理解し、長期的な視点でトレーニングに取り組むための参考にしてください。

筋トレで男性が設定すべき目標の基本的な考え方

短期・中期・長期で分けて考える目標設定

筋トレの目標は、時間軸で区切って考えることが役立ちます。短期間での変化を期待しすぎず、現実的な期待値を持つのが継続の鍵となります。

1~3ヶ月の短期目標:まずトレーニングの習慣化に重点を置きます。この期間では、体重や見た目の変化よりも、正しいフォームの習得や基礎体力の向上を目指すのが現実的です。初期段階で扱える重量が急激に増加する場合がありますが、これは主に神経系の適応によるもので、筋肉量の増加とは異なる点を理解しておく必要があります。

週2~3回のトレーニングを継続できるようになるのを第一の目標としましょう。厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、30代男性の運動習慣者の割合は25.9%、40代男性では18.5%と、働き盛りの世代で特に低い傾向にあります。仕事や家庭の責任が増える中で、運動時間の確保の難しさが背景にあると考えられます。


参考:厚生労働省「国民健康・栄養調査(令和元年)」
 

3~6ヶ月の中期目標:扱える重量の増加や体組成の変化が少しずつ現れ始める時期です。特に上半身の筋肉量の増加が視覚的に現れやすく、Tシャツやワイシャツの着こなしに変化を感じる場合もあります。ベンチプレスで体重の0.8~1倍程度、スクワットで体重の1~1.2倍程度の重量を扱えるようになるのを一つの目安とすると良いでしょう。

6ヶ月以上の長期目標:より具体的な体づくりの方向性を定めていきます。「逆三角形の体型を目指す」「腹筋を割る」「体脂肪率を15%以下にする」など、明確なビジュアル目標を設定します。この時期になると、トレーニング経験も蓄積され、自分の体の反応もある程度把握できるようになっているため、より個別化された目標設定が可能になります。

数値目標と体感目標のバランス

数値と体感の両方を活用することで、より総合的な評価につながります。

参考にできる数値指標

  • 体重:筋肉増量期は月1~2kg程度の増加を目安に
  • 体脂肪率:健康的な範囲は10~20%程度とされる
  • 筋肉量:体重の40%以上を維持・向上
  • 腹囲:85cm未満(メタボリックシンドロームの基準)
  • 各種目の使用重量:ベンチプレス、スクワット、デッドリフトのBIG3の記録


ベンチプレスの重量にこだわる方もいますが、全身のバランスを考慮することが役立ちます。トレーニングの進捗を測る際は、自分の体重に対する相対的な重量を目安にする場合もありますが、個人の体格、体質、トレーニング歴により大きく異なるため、無理のない範囲で段階的に向上を目指すことが必要です。

一方、体感目標では、日常生活の改善に着目します。デスクワークによる猫背や肩こりの改善、スーツの着こなしの変化、階段を上るのが楽になった、ゴルフの飛距離が伸びたなど、日常生活やスポーツパフォーマンスの向上を実感できる指標です。

男性の筋トレ目標を達成するためのトレーニング頻度

週2-3回から始める現実的なスケジュール

仕事の忙しさから週末にまとめてトレーニングしようとする週末型になりがちですが、これは怪我のリスクが高く、変化も限定的になることがあります。筋トレを始める際は、週2~3回のペースが適しています。

一般的に筋力トレーニングを週2~3回行うことが推奨されています。筋肉は適切な休息があれば48~72時間で回復し、以前より強くなろうとする「超回復」が起こりやすいとされています。


ライフスタイルに合わせたスケジュール例


仕事が忙しい方向け(週2回):

  • 水曜日:仕事後19時~20時(上半身中心)
  • 土曜日:午前中10時~11時30分(下半身+全身)


朝型の方向け(週3回):

  • 月・水・金の早朝6時~7時
  • 短時間でも継続しやすいトレーニングが可能


一度のトレーニングで長時間頑張ろうとする方もいますが、週1回3時間のトレーニングよりも、週3回1時間のトレーニングの方が継続しやすいとされます。また、飲み会などの予定がある場合は、その日を避けてトレーニング日を設定することで、継続しやすくなります。

トレーニング時間の目安と配分

1回のトレーニング時間は、60~90分程度を目安にすると良いでしょう。長時間のトレーニングを好む方もいますが、90分を超えるとテストステロンレベルが低下し、コルチゾール(ストレスホルモン)が増加するため、逆に疲労が蓄積しやすくなることがあります。

項目時間内容
ウォーミングアップ10~15分肩甲骨周りの動的ストレッチを重視(デスクワーク対策)
メイントレーニング40~60分BIG3を中心とした複合種目
クールダウン10~15分腰部・股関節の静的ストレッチを重視



トレーニングでは、以下の点に注意が必要です:

ウォーミングアップの活用:体が硬い傾向がある方は、肩関節と股関節の可動域が狭いケースがあります。急に重い重量を扱おうとして怪我をするケースも少なくありません。肩回しや股関節回しなど、大きく関節を動かす動作を取り入れましょう。

メイントレーニングの構成:男性は高重量を扱いたがる傾向がありますが、初心者の段階では正しいフォームの習得を優先します。「重量を追求する日」と「フォームを重視する日」を分けることで、安全にトレーニングを継続しやすくなります。

筋トレの目標別メニューの組み立て方

部位分割法

トレーニングの頻度や回復を考慮して、部位ごとに日を分けてトレーニングする「部位分割法」があります。上半身に偏りがちなトレーニングを改善し、全身をバランスよく鍛える構成例を紹介します。

週2回の分割例


Day 1(上半身の日):

  • ベンチプレス(胸):胸板を厚くする基本種目
  • ラットプルダウン(背中):逆三角形のシルエットを作る
  • ショルダープレス(肩):肩幅を広く見せる
  • アームカール(二頭筋):腕の筋肉を発達させる


Day 2(下半身+体幹の日):

  • スクワット(脚全体):テストステロン分泌を促進するとされる
  • デッドリフト(背面全体):全身の筋力向上
  • レッグカール(ハムストリングス):バランスの良い脚
  • プランク(体幹):腹筋を引き締める

週3回の分割例(プッシュ・プル・レッグ)

この分割法は、トレーニーに広く採用されており、全身を体系的にトレーニングできる方法です。


月曜日(プッシュ=押す動作):

  • 胸、肩、三頭筋を中心に


水曜日(プル=引く動作):

  • 背中、二頭筋を中心に


金曜日(レッグ=脚):

  • 下半身全体と体幹


男性が陥りやすいトレーニングの落とし穴と対策

胸と腕ばかりトレーニングする「ミラーマッスル症候群」

鏡に映る部位(胸、腕、腹筋)ばかりトレーニングして、背中や脚を疎かにする方がいます。これは姿勢の悪化や怪我のリスクを高めることがあります。

対策:「押す動作」と「引く動作」のバランスを取る。ベンチプレスを3セット行ったら、ローイング系種目も3セット行う。

重量への過度なこだわり

周りと重量を比較しがちですが、フォームを犠牲にした高重量トレーニングは変化が限定的で、怪我のリスクも高くなります。

対策:「コントロールできる最大重量」を基準にする。3秒かけて下ろし、1秒で上げるテンポを保てる重量が適切とされます。

脚トレーニングの軽視

「脚は見えないから」という理由で脚トレーニングを避ける方もいますが、下半身の筋肉量は全身の筋肉の大部分を占め、成長ホルモンやテストステロンの分泌にも関わるとされます。

対策:週に最低1回は脚の日を設ける。スクワットが苦手な場合は、レッグプレスから始めても構いません。

男性が筋トレで陥りやすい目標設定の注意点

年齢による体の変化を考慮した目標設定

年齢と共にテストステロンレベルが低下し、筋肉のつきやすさや回復力に変化が現れます。


20代の特徴と目標設定

  • 回復力が高く、週4~5回のトレーニングも可能な方もいる
  • 体力的に負荷の高いトレーニングにも取り組みやすい
  • 基礎体力の向上と正しいフォームの習得を重視


30~40代の特徴と目標設定

  • 仕事のストレスや責任が増加
  • 基礎代謝の低下が始まるとされる
  • 週2~3回の質の高いトレーニングを重視
  • 怪我の予防を意識したウォーミングアップ


50代以降の特徴と目標設定

  • 関節の可動域低下
  • 回復に時間がかかる傾向
  • 健康維持を第一目標に
  • 低~中強度で継続性を重視


現実的な期待値として、以下のような変化の目安を持つと良いでしょう:


初期(1~3ヶ月)

  • 筋力の向上を実感(扱える重量が増える)
  • 体のハリや筋肉の充実感
  • 日常動作が楽になる


中期(3~6ヶ月)

  • 服のフィット感に変化を感じる
  • 周囲から体型の変化を指摘される場合もある
  • 体組成に緩やかな変化


長期(6ヶ月以上)

  • 見た目の変化がより明確に
  • 生活習慣として定着
  • 体力や健康面での改善を実感


ただし、これらの変化には大きな個人差があります。仕事でのストレス、睡眠不足、飲酒などが多い方は、より緩やかな変化になることを理解しておく必要があります。短期間での劇的な変化を期待するのではなく、長期的な視点で継続させましょう。

他人との比較ではなく過去の自分と比較する

競争心から、ジムで他の人と重量を比較しがちです。しかし、体格、トレーニング歴、生活環境など個人差があるため、他人との比較よりも自分の成長に注目することが役立ちます。


自己成長を測る指標

  • 3ヶ月前の自分と比べてベンチプレスの重量は増えたか
  • スーツやシャツのサイズに変化はあるか
  • 健康診断の数値(コレステロール、血圧等)は改善したか
  • 仕事のパフォーマンスや集中力は向上したか
  • ストレス解消法として機能しているか

筋トレの目標達成をサポートする生活習慣

睡眠とテストステロンの関係

睡眠は、テストステロンの分泌と密接に関わっています。睡眠不足はテストステロンレベルを低下させ、筋肉の成長を妨げることがあります。成人の場合、7時間以上の睡眠が推奨されています。

睡眠改善のポイント

  • 寝る前のスマートフォンやPCの使用を控える(ブルーライトはテストステロン分泌を妨げるとされる)
  • アルコールは睡眠の質を下げるため、トレーニング日は控えめに
  • 寝室の温度は18~22度程度が良いとされる
  • 昼寝は20分以内に留める(長すぎると夜の睡眠に影響することがある)


栄養戦略とタンパク質摂取

筋トレにおける栄養摂取は、筋肉量の多さと基礎代謝の高さを考慮する必要があります。

タンパク質摂取目安

厚生労働省では、成人男性のタンパク質推奨量は1日65gとしています。ただし、あくまでこれは標準時の指標なので、主にフィットネス指導の現場などでは筋力トレーニング中は強度によって体重1kgあたり1.2~2.0g摂取することを推奨されることが多いです。

※参考:厚生労働省「たんぱく質」
 

そのほか意識すべき栄養素

  • 亜鉛:テストステロン生成に必要とされる。牡蠣、牛肉、ナッツ類に豊富
  • ビタミンD:テストステロンレベルの維持に関わるとされる。日光浴や魚類から摂取
  • マグネシウム:筋肉の収縮と回復に関わる。ほうれん草、アーモンドに含まれる
  • 炭水化物:筋グリコーゲンを多く消費するとされる。トレーニング前後の摂取が役立つ


よくある食事の問題点と対策

  • 朝食を抜きがち → プロテインシェイクとバナナだけでも摂る
  • 昼食は外食中心 → 定食スタイルで主食・主菜・副菜を揃える
  • 夜は飲酒が多い → 週2~3日は休肝日を設け、その日をトレーニング日に
  • 野菜不足 → 最低でも1日350g、できれば500gを目標に


仕事のストレスと筋トレの関係

多くの方は仕事のストレスを抱えていますが、適切な筋トレはストレス解消に役立つとされます。一方で、過度なストレス(コルチゾールの上昇)は筋肉の分解を促進することもあるため、バランスが必要です。

ストレス管理と筋トレの両立

  • 高ストレス期は軽めのトレーニングに留める
  • トレーニング後のストレッチや深呼吸を習慣化
  • 週1回は完全休養日を設ける
  • サウナや入浴でリラックス時間を確保

目標の見直しと調整のタイミング

3ヶ月ごとの評価ポイント

筋トレ進捗を評価する際は、以下の項目をチェックします:


筋力の進歩

  • BIG3(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)の使用重量
  • 各種目の反復回数の増加
  • トレーニングボリューム(重量×回数×セット数)の変化


体組成の変化

  • 体重の増減(目的に応じて評価)
  • 体脂肪率(健康的な範囲は12~15%程度)
  • 筋肉量の増加
  • 腹囲の変化(85cm未満が目標)


見た目の変化

  • 胸囲、上腕囲、太もも囲のサイズ
  • Vシェイプ(逆三角形)の形成度
  • 腹筋の見え方


パフォーマンスの向上

  • スポーツパフォーマンス(ゴルフの飛距離、野球の球速など)
  • 日常動作の改善(重い物を持つ、階段を上る)
  • 疲労回復の速さ

モチベーション維持のための工夫

数値化と記録:数値で進歩を確認することを好む方が多いため、トレーニングアプリやExcelで詳細な記録をつけることが役立ちます。

マイルストーン設定

  • ベンチプレス100kg達成
  • 体脂肪率15%以下
  • 懸垂10回連続
  • 腹筋が割れる


これらの具体的な目標を設定し、達成したら次の目標を設定することで、継続的なモチベーションを保ちやすくなります。

仲間との切磋琢磨:適度な競争があるとモチベーションが上がりやすいです。トレーニングパートナーを見つけたり、オンラインコミュニティに参加したりすることで、互いに刺激し合えます。

ご褒美システム

  • 3ヶ月継続できたら新しいトレーニングギアを購入
  • 目標達成したら好きなプロテインを買う
  • 半年継続でパーソナルトレーニングを1回受ける

よくある質問

Q1: 筋トレは毎日やった方がいいですか?

A: 必ずしも毎日行う必要はありません。特に同じ部位の連続トレーニングは避けるべきです。筋肉の回復には48~72時間程度必要とされており、休息なしでは筋肉の成長が期待しにくくなります。

初心者の方は週2~3回から始め、慣れてきたら部位を分けて週4~5回行う選択肢もありますが、最低でも週1~2日は完全休養日を設けるのが望ましいとされています。

Q2: プロテインは必要ですか?

A: プロテインは必須ではありませんが、食事だけで必要なタンパク質量を摂取することが難しいときには便利な補助食品です。通常の食事で十分なタンパク質(体重1kgあたり1.2~2.0g程度)を摂取できていれば、プロテインサプリメントは不要です。

ただし、忙しくて食事の準備が難しい時や、トレーニング後すぐにタンパク質を摂取したい時などには、手軽に利用できる選択肢として活用できます。

Q3: 有酸素運動も組み合わせるべきですか?

A: 目的によって異なりますが、健康維持の観点から、適度な有酸素運動の組み合わせは有益です。ただし、筋肉量増加が主目的のときは、過度な有酸素運動は筋肉の成長を妨げる可能性があるため、週2~3回、20~30分程度にとどめるのが望ましいとされています。体脂肪を減らしたいときは、食事管理と併せて有酸素運動を増やすと、変化を実感しやすくなります。

Q4: 筋肉痛がある時もトレーニングしていいですか?

A: 軽い筋肉痛であれば、ウォーミングアップを十分に行った上で、軽めの負荷でトレーニングするとよいでしょう。血流が促進され、回復を助けます。

ただし、強い筋肉痛があるときや、痛みで正しいフォームが保てないときは、その部位のトレーニングは避け、他の部位をトレーニングするか、完全に休養を取るのが望ましいとされています。筋肉痛は筋肉が回復・成長している証でもあるため、無理に動かすよりも、適切な休息を取る方が長期的には良いです。

まとめ

筋トレを継続するためには、自分の体質や生活環境を理解した上で、現実的な目標設定が重要です。

30代以降は仕事のストレスや責任の増加、飲酒の機会の多さなど、トレーニングを妨げる要因を抱えています。これらの現実を踏まえた上で、週2~3回の継続可能なペースで、上半身だけでなく全身をバランスよく鍛えるのが大切です。

短期間での劇的な変化を期待するのではなく、3ヶ月、6ヶ月、1年という長期的な視点を持って、段階的に目標を設定しましょう。他人との比較ではなく、過去の自分との比較を行い、小さな進歩を積み重ねていくことが、モチベーションの維持につながります。

睡眠、栄養、ストレス管理といった生活習慣も、トレーニングと同様に重要な要素です。特にテストステロンレベルを維持するための十分な睡眠と、筋肉量に見合った適切なタンパク質摂取を意識すると良いでしょう。

筋トレは体づくりだけでなく、ストレス解消、自信の向上、健康維持など、生活の質を高める要素です。無理のないペースで、楽しみながら長期的に継続すれば、健康的な生活習慣づくりにつながるでしょう。


 

※トレーニングや食事管理の効果には個人差があります。本記事は医療行為や医療上の効果を保証するものではありません。

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